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症例紹介『肩鎖関節脱臼』

2015.07.04 | Category: 未分類

 

こんにちは。

大森駅前治療院の佐々木です。

今年も早いもので半年が過ぎ、梅雨明けが待ち遠しいこの頃、

皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

今回、ご紹介する症例は『肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)』です。

 

・肩鎖関節脱臼とは

 

脱臼は、大きな外力が関節に作用し関節の端の一方が外に突き出た状況です。

関節包や靭帯の断裂をきたすため、一般的には単純骨折よりも脱臼の方が深刻です。

 

肩鎖関節は、鎖骨と肩甲骨が接している所で、肩鎖関節にある肩鎖靭帯(けんさじんたい)と、

その内側にある烏口鎖骨靭帯(うこうさこつじんたい)という靭帯(骨と骨を結ぶ強いひも状のもの)が、

互いの位置を一定に保ち、関節がずれることを防いでいます。

 

肩鎖関節脱臼は、肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯が断裂し、

鎖骨と肩甲骨の関節がずれて、脱臼した状態を示します。

交通事故では、車に衝突し転倒時に肩の外側を強く打ち付けた際や、

地面に打ち付けられて捻じれが加わり、靭帯が切れてしまうと考えられます。

特に原付・自転車を運転中の事故で数多くみられます。

 

 

・症状

 

初期の症状は、肩鎖関節部の安静時の痛み、押した時の痛みと腕を動かす時の激しい痛みです。

少し時間が経つと腫れによりこれらの症状が強くなります。

大きく関節がずれた場合は鎖骨が上方に突出します。

 

・診断、検査

 

鎖骨の上方突出、鎖骨の外側を上から圧した時のピアノの鍵盤のような上下の動き(ピアノキー症状)、

肩鎖関節部に限られた押した時の痛みなどで診断されます。

検査は、レントゲン検査が基本です。

必要に応じて、3~4㎏の重りを手首から吊るして撮影するストレス撮影などを追加することもあります。

 

 

・損傷の分類

 

Ⅰ型(捻挫)

肩鎖靭帯の部分的な痛みだけで、烏口鎖骨靭帯は正常でレントゲンでは異常がありません。

Ⅱ型(亜脱臼)

肩鎖靭帯が断裂し、烏口鎖骨靭帯は部分的に傷んでいます。

レントゲンでは関節の隙間が拡大し鎖骨の端がやや上にずれています。

Ⅲ型(単純な脱臼)

肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯ともに断裂しています。

レントゲンでは鎖骨の端が完全に上にずれています。

Ⅳ型(後方脱臼)

肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯ともに断裂しています。鎖骨の端が後ろにずれています。

Ⅴ型(高度脱臼)

Ⅲ型の程度の強いものです。

Ⅵ型(下方脱臼)

鎖骨の端が下にずれている非常にまれな脱臼です。

 

・治療法

 

捻挫(Ⅰ型)は3~4日間ほど三角巾で手を吊り安静を保ったのちに、

徐々に温熱療法を加えながら関節の動きをもどします。

2~3週間で日常生活動作に支障がなくなります。

 

亜脱臼(Ⅱ型)では1~2週間ほど三角巾で手を吊り、

その後徐々に関節の動きをもどしながら関節周囲の筋力の回復訓練を行います。

約2カ月間は重いものを下げたり、体を接触させるスポーツはできません。

 

単純な脱臼(Ⅲ型)では、中年以降の事務・管理職の方には亜脱臼に準じた保存療法が、

活動的な若年・重労働者や手を挙げて仕事をする方には手術が行われます。

手術は、切れてしまった靭帯を修復し、ずれた関節を正しい位置にもどすことが目的です。

手術方法には多くの種類があり、医療機関ごとに得意とする方法で行われています。

 

特殊な型(Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ型)の脱臼は全例で手術が必要ですが、

単純な脱臼(Ⅲ型)に対するものと同じ方法で行われます。

手術後約3カ月間は靭帯が十分な強さまで修復されないため、

重量物の持ち運びや体が接触するスポーツはできません。

 

 

応急処置として痛みの強い時には、

三角巾がなければ風呂敷・スカーフを三角形に折ったもので代用して手を吊り、

痛む場所を氷で冷やしてください。

少なくとも2~3日以内に医療機関を受診することをおすすめします。

 

メディカルケアでは整形外科と連携をとり包帯・テーピング固定、

リハビリ治療を行ってまいりますので安心してご来院ください。

ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。

 

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